にんにくは、さまざまな料理に風味を加えてくれ、食欲をそそる特有の香りが魅力の食品です。栄養豊富で体にもよい食品であるため、疲れた時や元気が欲しいときに食べるという方は多いのではないでしょうか。
しかしにんにくを食べたあとは、どうしても口臭が気になるもの。特に食事の後に人と会う予定がある場合には、エチケットとして匂いのケアをしておく必要があるでしょう。
今回はにんにく臭の抑え方や、食べた後の匂いケア方法について紹介します。
にんにくはなぜ匂うの?
皮がついた状態のにんにくはほとんど匂いがしないのに、なぜ食べると特有の匂いがでてくるのか疑問に思ったことはありませんか。
こちらでは、にんにくの匂いの正体や、匂いの持続時間についてみてみましょう。
匂いの正体は「アリシン」
にんにくが持つ特有の匂いは、「アリシン」という成分によるものです。もともとにんにくの細胞には「アリイン」という成分が含まれていますが、調理することで組織が壊れ、さらに空気に触れることで酵素が活性化されアリインがアリシンに変化します。
この成分は細胞の中に含まれるため、皮がついたままのにんにくからは、強い匂いが発生しません。調理時に刻んだりすりおろしたりすることで、にんにく特有の香りが感じられるようになるのです。
にんにくの匂いはどれくらい続く?
にんにくを食べた後は、どれくらいの時間匂いが残るのか気になりますよね。にんにくの匂いには、口の中で発生する「口臭」と、体内から発生する「体臭」の2種類があり、匂いの持続時間はにんにくを食べた量や、食べた人の代謝などによって個人差があります。
まず「口臭」は、にんにくが含まれる食事をした後、おおよそ3時間程度匂いが強くなると考えられます。これは口の中に残された食べカスが主な原因で、食べカスが口の中の細菌によって分解されるためです。
また「体臭」の場合は、にんにくを食べてから約16時間もの間持続するとされています。にんにくは、消化と吸収によって血液中に取り込まれ、その後全身に運ばれるため、より長い時間体内に匂い成分が残ってしまうのです。
にんにくの匂いを消す効果的な方法
匂いは気になるけど、全ての料理からにんにくを取り除くことは難しいですよね。こちらではにんにくの匂いを消すための方法を、食事の段階別に紹介します。
簡単な一手間を加えるだけで気になる匂いを抑えられるので、今日から実践してみましょう。
にんにくの調理時
にんにくの匂いを抑えるには、食べる前の一手間がポイントになります。
匂い成分をなるべく体内に取り入れないために、次で紹介する2つの調理方法を取り入れてみましょう。
にんにくの芽を取り除く
にんにくの芽には匂いの元になる成分が多く含まれています。食べても問題ない部分ですが、調理前に取り除いておくことで、強い匂いを抑えることができるでしょう。
芽を取り除くには、まずにんにくを半分に切ります。次に包丁やつまようじを使ってにんにくの中心部分にある芽を取り除きましょう。
加熱してから調理する
にんにくは調理前に電子レンジで加熱することでも匂いを抑えられます。にんにくの匂いは、アリインという成分が酵素によってアリシンに変わることで発生するのですが、この酵素「アリナーゼ」は熱に弱い性質を持っています。
そのため、にんにくの細胞が壊れていない調理前の段階で熱を加えれば、酵素の働きを弱められ、にんにくの匂いを抑えることができるのです。
にんにくを電子レンジで加熱する際は、皮をむいてラップで包みます。600Wの電子レンジの場合は、1粒に対して20秒程度を目安に加熱しましょう。
食事の前に摂るとよい食材
レストランやお弁当など、自分で調理しない食事ににんにくが含まれる場合には、口臭・体臭を抑えてくれる食材を一緒に摂ってみましょう。食事前にしっかりと匂いのケアをしておくことで、にんにく臭の緩和につながります。
牛乳
にんにく臭の原因となる成分「アリシン」は、タンパク質に結びつきやすい性質を持っています。そのためにんにくを食べる前に、タンパク質を含む牛乳を飲めばアリシンの働きを抑えられるようになります。
より効果を高めたい場合には、タンパク質が多く含まれる低脂肪乳を選ぶのがおすすめです。
緑茶
緑茶に含まれる「茶カテキン」には、消臭や殺菌効果のある成分が含まれています。茶カテキンはにんにく臭を抑える働きが期待できるため、にんにくを食べる前に飲んでおくとよいでしょう。
また緑茶は濃度が濃くなるほど茶カテキンが多く含まれ、その分口臭を抑制する効果も高くなります。
市販されているペットボトルの緑茶でもある程度の消臭効果は見込めますが、口臭ケアをよりしっかりとしたい場合には、茶葉からいれた濃いめの緑茶がおすすめです。
食時中に摂るとよい食材
こちらでは、食事中に摂るとよい食材を紹介します。にんにく料理と一緒に取り入れることで、食事中にも匂い対策が可能になります。
チーズ
チーズには牛乳と同様にタンパク質が多く含まれています。そのためにんにくと一緒に食べることで匂いの元となるアリシンの働きを抑える効果が期待できます。
チーズはイタリアンや韓国料理、スペイン料理などさまざまな料理と相性抜群です。食事に取り入れやすい食材なので、にんにく臭ケアのためにも積極的に食べてみましょう。
コーヒー
コーヒーには抗酸化作用のあるポリフェノールが含まれています。匂いの原因になるアリシンはポリフェノールによって分解されるため、にんにくによる口臭対策に役立つでしょう。
また、コーヒーにはタンニンという成分も含まれます。タンニンには強い消臭効果があるため、にんにく臭をはじめとするその他の口臭予防にも効果が期待できます。
より多くタンニンを摂取したい場合には、アメリカンコーヒーがおすすめです。
食後に摂るとよい食材
にんにく料理を楽しんだ後にも、口臭をケアする方法はあります。口臭予防ができる食材を知っていれば、食後のデザートやドリンクにその食材をチョイスすることもできますね。
食事を最後までおいしくいただいて、同時に匂いケアも効果的に行いましょう。
りんご
りんごに含まれるポリフェノールとエピカテキンには、食後の不快なにんにく臭を和らげる効果が期待できます。
これらの成分はりんごの皮により多く含まれます。食後には皮付きのりんごをデザートに食べてみましょう。
チョコレート
チョコレートにはポリフェノールが豊富に含まれます。ポリフェノールは匂いの元を分解してくれるため、食後のにんにく臭を抑えるのに効果的と言えるでしょう。
チョコレートは持ち運びしやすいため、外食する際にカバンに入れておいて食後に食べれば安心です。
翌日も匂いが気になる場合は
匂いの原因となる成分は、体内に取り込まれると長時間消えてくれません。
「口臭ケアをせずに、にんにくを食べてしまった」「口臭ケアをしたのに、翌日も匂いが気になる」という場合でも、諦めずに今から紹介するケア方法を試してみてはいかがでしょうか。
水分をたくさん飲む
にんにくを食べた翌日は、朝起きたらまずコップ1杯の水を飲みましょう。水を飲むことで体内の老廃物と一緒に匂いも外に出すことができます。
主に老廃物は尿と一緒に排泄されます。口臭・体臭ケアのためにも水は1日に1.5リットル程度を目安として飲むのが理想的です。
たくさん汗をかく
体内に取り込まれたにんにくは、血液中に吸収され全身に運ばれます。そのためにんにく臭は口からだけでなく、毛穴からも匂いを放ってしまうため注意しましょう。
たくさん汗をかくことは、体内にある毒素を排出できるため体臭予防として効果的です。手軽に汗をかきたい方は、半身浴やサウナにゆっくり入ってみましょう。
黒にんにくは匂いを気にせず食べられる
にんにくは料理の風味を高めるだけではなく、エネルギーチャージができる食品として人気です。しかし、にんにく特有の強い匂いは、食べた後の口臭や体臭が気になるため、食べるのを控えなければならないこともありますよね。
そんな時には、にんにく特有の匂いがほとんどない「黒にんにく」がおすすめです。熟成発酵された黒にんにくは、通常のにんにくに比べて栄養価がパワーアップした食品として、近年注目されています。
黒にんにくは、匂いと同様に刺激成分も少ないため、腹痛や下痢などの副作用を気にせず子どもでも安心して食べられるのが魅力です。また熟成された黒にんにくは、ドライフルーツのような甘味があるため、おやつや間食としても食べられます。
「疲労回復」や「やる気アップ」のために栄養補給したい方は、匂いや副作用を気にせず食べられる黒にんにくを試してみてはいかがでしょうか。
まとめ
にんにくは、調理前や食事の前、さらには食事途中や後に一手間加えることで、口臭・体臭ケアができるようになります。今回紹介した匂いを消す方法は、どれも手軽にできるものばかりですのでぜひ一度チャレンジしてみてくださいね。
しかし「にんにくの豊富な栄養素を毎日摂りたい」「手間なく栄養補給したい」と思う方は多いでしょう。そんな時には、匂いを気にせずにんにくの栄養成分を摂取できる「黒にんにく」がおすすめです。
熟成することで栄養成分が凝縮され、栄養価がパワーアップした黒にんにくは、フルーティーな甘味で刺激も少ないため、家族みんなで食べられるのが特徴です。
「口臭・体臭を気にせずにんにくを食べたい」「手軽にエネルギーチャージしたい」という方は、ぜひ黒にんにくを試してみてください。