近年、国内外から注目されている健康食品が黒にんにくです。
日本では、にんにくの生産地として名高い青森県の黒にんにくが有名で、2006年から研究開発が進められ誕生しました。
健康に良いことで知られるにんにくですが、黒にんにくはさらにそれを上回る栄養素を含んでいるため、気になっている人も多いのではないでしょうか。
今回の記事では、青森の黒にんにくについて、黒にんにくに含まれている栄養素やその効能、おすすめの食べ方について解説します。
なぜ黒い?青森の黒にんにくについて紹介
青森の黒にんにくは、外側は普通のにんにくと同様ですが、中身はその名の通り真っ黒です。
しかし、もともと黒い品種というわけではなく、特殊な製法を用いることにより白いにんにくが徐々に黒くなって、黒にんにくとなるのです。
黒にんにくに使用している青森県産の高級にんにくは、有機農法にこだわって栽培されており、中国産にんにくよりも実が大粒でふっくらしています。
黒にんにくの熟成期間は1ヶ月以上です。厳密に管理された温度・湿度の中で有機米を素材に発酵させた玄米発酵液と遠赤外線を利用してじっくりと熟成しています。
栄養分を豊富に含んでいるため、高い健康効果も期待できることも黒にんにくの特徴です。
2006年に高い健康効果を持つと研究者によって明らかにされたことで、一般にも広く知られるようになりました。
疲労回復やアレルギー改善はもちろんのこと、アンチエイジングなどの美容効果もあるとされています。
黒にんにくは、常温でも冷蔵でも保存可能です。しかし、高温多湿な場所や密閉容器に保存するとカビが発生してしまう可能性があるため、常温で保存する場合は新聞紙や紙袋で包み、なるべく涼しい風通しの良い場所に置きましょう。より長期間保存したい場合は冷蔵や冷凍での保存がおすすめです。ジップロックなどで密閉し保存してください。
黒にんにくは水分量が少ないため、冷凍してもあまり硬くならず、そのまま食べられます。
また、黒にんにくの皮にはポリフェノールが多く含まれているため、捨てずにお茶として飲むことをおすすめします。
黒にんにくの皮にお湯を注ぐだけなので、手軽に黒にんにくの栄養素を摂取することができるでしょう。
黒にんにくと普通のにんにくの3つの違いについて
黒にんにくと普通のにんにくには、以下のように大きく3つの違いがあります。
・そのまま食べられる
・臭みがなくにおいが残りにくい
・栄養価値が高い
それぞれ詳しく解説します。
そのまま食べられる
普通のにんにくは刺激的な辛みがあるため、そのまま食べるのには適していませんが、黒にんにくはそのまま食べることができます。
にんにくに含まれている「アリイン」という成分が「アリシン」に変化することでにんにく特有の辛みが発生するのですが、黒にんにくは熟成によってアリシンが消えるため、においや辛みがなくなるのです。
アリシンが消えることで黒にんにくはまるでドライフルーツのような甘み・食感となるため、非常に食べやすくなります。お菓子感覚で食べる人もいるほどです。
臭みがなくにおいが残りにくい
にんにく特有のにおいも、辛みと同様にアリインがアリシンに変化することで発生しているため、アリシンが消える黒にんにくは、臭みがなくにおいが残りにくいという特徴があります。
食後30分~1時間ほどでにおいは消え去るため、人と会う予定がある場合でもにおいをあまり気にすることなく食べることができるでしょう。
栄養価値が高い
普通のにんにく自体が栄養素が豊富なことで知られていますが、黒にんにくは熟成することにより栄養価値がさらに高まっています。
体内で作ることができない「必須アミノ酸」9種が全て含まれていることも大きな特徴です。
アルギニンやアラニン、チロシンなどは普通のにんにくの数倍以上となっており、非常に高い栄養効果が期待できるでしょう。
赤ワインに多く含まれていることで知られている「ポリフェノール」も黒にんにくには多く含まれています。
ポリフェノールと一口にいっても多くの種類があり、それぞれ効果も異なりますが、共通している効果として生活習慣病の予防や抗酸化作用、抗菌作用などがあります。
青森の黒にんにくの効果・効能とは?
先述したように青森の黒にんにくにはさまざまな栄養素が豊富に含まれています。
今回はその中でも以下の3つの栄養素に着目し、効果・効能を解説していきます。
・アルギニン
・GABA(ガンマアミノ酪酸)
・S-アリルシステイン
アルギニンによる効能
アルギニンはアミノ酸の一種です。体内でも合成されるため分類は非必須アミノ酸となっていますが、年齢を重ねるごとに体内の合成量が減少していくため、大人でも摂取が推奨されている栄養素です。
黒にんにくには普通のにんにくの約3倍のアルギニンがふくまれています。
主な効果は成長ホルモンの合成を促進することです。成長ホルモンの合成が促進されることで、脂肪の代謝を促し、筋肉組織の強化につながります。
細菌に対する抵抗力の向上や免疫力を高める効果も期待できます。
また、アルギニンには体内のアンモニアを解毒する効果があるため、アンモニアの増加が抑制されることで疲労回復効果があると期待されています。アンモニアが増加することで作られる「アセトアルデヒド」が疲労の原因のため、アンモニアの増加抑制が疲労回復につながるのです。
アルギニンによる効能はこれだけではなく、他にも血流の改善や美容効果などがあります。
幅広い効果が期待できるため、アルギニンを多く含んでいる黒にんにくに高い栄養価値があるのも当然といえるでしょう。
GABA(ガンマアミノ酪酸)による効能
GABAはガンマアミノ酪酸の略称で、こちらもアルギニンと同じくアミノ酸の一種です。
人間をはじめとするさまざまな動物や植物に含まれており、特に脳や脊髄に多く存在しています。
興奮状態を抑え、神経を落ち着かせる働きがあり、ストレスの緩和や睡眠の質の向上が期待できます。
ストレス社会と言われている現代において特に注目が高まってきている成分で、神経を落ち着かせる以外にも「ノルアドレナリン」を抑制することができることから、血圧の上昇を抑える効果もあります。
GABAはもともと体内でも十分な量が作られている成分です。しかし、疲労やストレスを緩和する際に大量に消費されるため、特に現代においては不足傾向にあります。
GABAが不足していると交感神経が過剰に働いてしまい、リラックスできず緊張状態が続いてしまうのです。
また、GABAには現時点で副作用が見つかっていないため、安心して摂取することができます。
S-アリルシステインによる効能
S-アリルシステインは、にんにくに含まれる機能性成分の一つです。普通のにんにくにはごく微量しか含まれていませんが、熟成や発酵で増加するため、黒にんにくには普通のにんにくの10倍以上もの量が含まれています。
以下はS-アリルシステインの摂取によって期待できる効能一覧です。
・脳機能・脳神経作用、神経保護作用
ドーパミンの減少を緩和することで、神経の保護作用を示す結果が報告されています。
・抗疲労作用
S-アリルシステインを摂取することにより、自律神経機能がそれぞれの状況に適した状態に調節されること、ストレスの上昇抑制および集中力の上昇がみられることが明らかとなっています。
・睡眠改善作用
試験により、疲労感および睡眠の質において有意な結果が認められています。
・抗炎症・抗酸化ストレス作用
腎損傷を回復させ、高血糖による酸化損傷から腎臓を保護します。
・肝保護作用
肝硬変や急性肝炎に効果があったことが報告されています。
・テストステロン産生促進作用
男性における主要な性ホルモンであるテストステロンの産生促進効果が報告されています。
・血流改善効果
血液の血流量が増加することが報告されています。
参考 : SAC研究会 SACの機能性 https://sac-association.com/sac/#sec02
黒にんにくを食べるデメリットはあるのか?
高い健康効果が期待できる黒にんにくですが、黒にんにくを食べることにデメリットはあるのでしょうか。
結論から言うと、黒にんにくには副反応はないため、デメリットは特にありません。
しかし、黒にんにくを食べ過ぎると胃腸の荒れや下痢を起こしてしまう可能性があります。これは黒にんにく特有の現象ではなく、にんにくという食品そのものに起こりうるものです。
にんにくには強力な殺菌効果があり、生で食べると胃腸の荒れや下痢を引き起こすほか、腸内の悪玉菌と一緒に善玉菌も殺してしまう可能性があるのです。
しかし、大量に摂取しない限りは黒にんにくで胃腸の荒れや下痢が起きる可能性は低いでしょう。なぜなら、熟成されることで胃腸へ負担をかける成分がS-アリルシステインに変化するからです。
以上のことから、黒にんにくは身体にほとんど負担をかけることのない、極めてリスクの低い健康食品だといえます。
青森の黒にんにくの食べ方や料理法3選
黒にんにくは主に以下のような食べ方をされています。
・そのまま食べる
・サラダにする
・スープに入れる
それぞれ見ていきましょう。
そのまま食べる
黒にんにくは普通のにんにくとは違って刺激的な辛み・においが少ないため、胃への刺激も小さくそのまま食べることができます。
普通のにんにくと違い、熟成によって甘みが生まれているため、果物を食べるような感覚でいただけるでしょう。
黒にんにくの成分を出来る限り効率的に摂取したい場合は、生でそのまま食べるのがおすすめです。
しかし、先述したように、にんにくを食べると胃腸の荒れや下痢が引き起こされる可能性があり、これは黒にんにくも例外ではありません。
普通のにんにくよりも刺激は小さいものの、過剰に摂取すると胃腸の荒れや下痢を起こす可能性は十分考えられるため、一度に大量に摂取することは避け、毎日継続して少しずつ食べることをおすすめします。
サラダにする
黒にんにくは食感や味がフルーツに近いため、サラダにするのもおすすめです。
薄くスライスしてサラダのトッピングにしたり、細かく刻んでドレッシングに入れたりしてみましょう。
黒色がアクセントとなり、いつもとは違うサラダやドレッシングを視覚的にも楽しむことができます。
また、サラダにする場合は加熱調理しないため、黒にんにくに含まれている豊富な栄養素をそのまま摂ることができるのも嬉しいポイントです。
ドレッシングにする場合は、オリーブオイルやごま油・酢・塩コショウなどと混ぜ合わせることで洋風の美味しいドレッシングになります。
以下のURLを参考に、さまざまなレシピを試してみてください。
参考 : cookpad 黒にんにく サラダ 、cookpad 黒にんにく ドレッシング
スープに入れる
黒にんにくはスープに入れても美味しく食べることができます。
スライスしてそのまま入れてもいいですし、ペースト状にしたものを風味として加えるのもおすすめです。
黒にんにくの自然な甘みが楽しめるスープとなるでしょう。
レシピは以下のURLを参考にしてみてください。
参考 : cookpad 黒にんにく スープ
まとめ
今回の記事では、青森の黒にんにくについて、黒にんにくに含まれている栄養素やその効能、おすすめの食べ方について解説しました。
黒にんにくにはさまざまな栄養素が豊富に含まれており、副反応もないため安心して食べることができます。
熟成することによりフルーツのような甘み・食感となるため、普通のにんにくがあまり好きではない人にもおすすめです。
今回の記事を参考に、ぜひ黒にんにくをさまざまな食べ方で楽しんでみてください。