白にんにくよりも豊富な栄養素を含んでいることで、近年注目が高まっている食品が黒にんにくです。
しかし、身体に良いというのは漠然とわかっていても、黒にんにくにはどのような効能があるのか具体的に知っている人はあまり多くないのではないでしょうか。
また、黒にんにくを美味しく食べるにはどのように調理するべきか気になっている人もいることでしょう。
今回の記事では、黒にんにくの効果的な食べ方を紹介するとともに、黒にんにくの効果・効能や一日の摂取目安についても詳しく解説します。
黒にんにくの基本の食べ方とは?そのまま生で食べられる?
黒にんにくは、黒にんにくという品種があるわけではなく、普通の白にんにくを特定の環境で1ヶ月ほど熟成させたものです。
熟成させる過程で色が白から黒に変化しますが、変わるのは色だけではありません。
においや味にも変化が起こり、においは普通の白にんにくのような刺激感が弱まり、味はドライフルーツのような甘みを持つようになります。
にんにくには「アリイン」という成分が含まれており、アリインが「アリシン」に変化することで特徴的なにおいと味が発生しているのですが、熟成する際にアリシンが消えるため、黒にんにくと普通の白にんにくでは、においや味が違うのです。
また、色の変化は「メイラード反応」によるものだとされています。メイラード反応とは食品を加熱した際に糖質とタンパク質などが反応して褐色の物質が生成される反応です。
においや味が変化することにより食べやすくなるため、黒にんにくはそのまま生で食べることが可能です。皮をむいて、フルーツ感覚でそのまま食べてみましょう。
さまざまな栄養素が含まれているため、普通の白にんにくを超える非常に高い栄養効果が期待できます。
黒にんにくを使った効果的で美味しいレシピ・食べ方5つ
黒にんにくはそのままで美味しく食べることができますが、にんにく特有のにおいが完全に無くなるわけではないため、生でそのまま食べることに抵抗がある人もいることでしょう。
黒にんにくはそのまま食べる以外にもさまざまな食べ方があるため、おすすめのレシピ・食べ方を紹介します。
今回紹介する美味しいレシピ・食べ方は以下の5つです。
1そのまま食べる
2チャーハンの味づけに
3スープの風味づけに
4バゲットにつけて
5サラダに入れる
それぞれ詳しく見ていきましょう。
1.そのまま食べる
先述したように、黒にんにくはにんにく特有のにおいや辛みが少ないため刺激が小さく、普通の白にんにくが苦手という人でもそのまま食べることができます。
熟成することで甘みが生まれているため、食感も相まって、ドライフルーツを食べるような感覚でおやつ代わりに食べることもできるでしょう。
しかし、食べ過ぎるのはあまり良くありません。にんにくは過剰に摂取すると胃腸の荒れや下痢を引き起こす可能性があり、これは黒にんにくにも当てはまります。
一度に多くの量を食べるのではなく、一定の量を毎日継続して食べることをおすすめします。
2.チャーハンの味づけに
黒にんにくはチャーハンの味づけとしてもおすすめです。黒にんにくの甘みがアクセントとなって、さまざまなチャーハンにマッチします。
チャーハンに入れる際は、スライスしたものでもみじん切りにしたものでも構いません。お好みの大きさにした黒にんにくを入れてみましょう。
参考レシピ:激ウマ!黒にんにくと豚の角煮チャーハン|cookpad
3.スープの風味づけに
黒にんにくのドライフルーツのような甘みは、スープの風味づけとしてもおすすめです。
スライスして、もしくはペースト状にしたものをスープに加えると良いでしょう。
わかめスープやカレースープなど、さまざまなスープに合います。また、味噌汁に入れるのもおすすめです。
参考レシピ:野菜たっぷりの黒にんにく入りカレースープ|cookpad
4.バゲットにつけて
黒にんにくを細かく刻んでディップソースにすると、パンやバゲットにつけて美味しく食べることができます。
パンやバゲットだけでなく、フライドポテトなどとも相性抜群です。
刻んだり、すりつぶした黒にんにくをレモン汁などと混ぜ合わせるだけなので非常に簡単に作れるのも魅力です。
参考レシピ:にんにく農家が作る★黒にんにくディップ|cookpad
5.サラダに入れる
黒にんにくはドライフルーツに近いため、サラダのトッピングにもおすすめです。
サラダに入れる場合は加熱調理をしないため、黒にんにくの豊富な栄養素をそのまま摂取することができます。
ぜひ普段のサラダに黒にんにくを加えてみてください。
また、黒にんにくはドレッシングにすることもできます。オリーブオイルや塩コショウと混ぜ合わせるだけなので作り方も簡単です。
参考レシピ:黒にんにくとプチトマトのサラダ|cookpad
黒にんにくを食べる効果・効能
普通の白にんにくも、栄養価の高い食材として知られていますが、黒にんにくは熟成させることによって白にんにく以上の栄養価となっています。
黒にんにくに特に多く含まれている栄養素が「アミノ酸」と「抗酸化物質」です。
アミノ酸は非常に多くの種類がありますが、たんぱく質を作っているのはわずか20種類です。
20種類のうち、体内で作ることができない「必須アミノ酸」が9種類、体内で作られる「非必須アミノ酸」が11種類ありますが、黒にんにくは驚くべきことに、9種類の必須アミノ酸が全て含まれています。
アミノ酸はたんぱく質を作っているため、必須アミノ酸が不足するとたんぱく質が作られなくなり、筋肉量が低下してしまいます。
筋肉量が低下すると基礎代謝も低下するため、太りやすくなってしまうのです。
抗酸化物質は活性酸素の発生や働きを抑制し、活性酸素そのものを取り除く物質です。生活習慣病の予防にも役立つとされています。
「ビタミンA」や「ポリフェノール」、「カロテノイド」などが代表的な抗酸化物質ですが、黒にんにくにはポリフェノールが多く含まれています。
黒にんにくに含まれているポリフェノールの総量は数ある野菜の中でもトップクラスなので、花粉症などのアレルギー改善や疲労回復、滋養強壮などの効果が大いに期待できるでしょう。
また、黒にんにくに含まれている栄養素の中で、特に注目したいものが「アルギニン」「GABA(ガンマアミノ酪酸)」「S-アリルシステイン」の3つです。
それぞれどのような効能があるのか、詳しく見ていきましょう。
・アルギニン
アルギニンは、アミノ酸の一種です。必須アミノ酸ではないのですが、体内で作られる量があまり多くないため、不足しがちな傾向にあります。「準必須アミノ酸」と呼ばれることもあるようです。
アルギニンの主な効果は成長ホルモンの分泌・合成の促進です。成長ホルモンは小児期の成長・発達
に必要という印象がありますが、成人してからも不要になるわけではなく、代謝を調節し、免疫機能や認知機能に作用することも研究で明らかとなっています。
また、成長ホルモンの合成が促進されると脂肪の代謝が促されるため、筋肉組織の強化も期待できます。
免疫力を高める効果もあり、白血球の一種である「マクロファージ」を活性化させることで、身体をウイルスから守る働きが強まります。
肌荒れはアミノ酸や水分が不足していることが原因のため、美容効果にも期待できるでしょう。
・GABA(ガンマアミノ酪酸)
GABAは、ガンマアミノ酪酸の略称です。アルギニンと同じくアミノ酸の一種ですが、たんぱく質を作っているわけではありません。
さまざまな動物の脳や脊髄に多く分布しており、主な効果はストレスの緩和です。
もともと体内で十分な量が作られているため、摂取する意味が薄いのではと思われがちですが、疲労やストレスの緩和に大量に消費されてしまう傾向にあります。
ストレスを抱えがちな現代社会では、特にその傾向が顕著だといえるでしょう。
GABAによって副交感神経の働きが活発になるため、緊張が和らぐほか、ストレスによる悪影響が緩和されます。
副交感神経の働きが活発になることで、作業効率の向上も期待できるでしょう。
また、血圧の上昇を抑える効果もあります。「ノルアドレナリン」を抑制することで血管の圧迫を防ぎ、腎臓の働きを活性化させることで血圧を調節する能力が適切に働くようになります。
黒にんにくはGABAの機能性表示食品のため、黒にんにくを食べればGABAを効率的に摂取することができるでしょう。
・S-アリルシステイン
S-アリルシステインは、にんにくに含まれる機能性成分の一つです。普通の白にんにくにはほとんど含まれていませんが、熟成することによって黒にんにくには白にんにくの10倍以上のS-アリルシステインが含まれています。
にんにく由来の機能性成分なのでにんにく以外の食品には一切含まれていません。
2021年に機能性食品の届け出が受理されたばかりで、積極的に研究が進められている成分です。
睡眠改善効果や血流改善効果、抗疲労作用などが期待できるため、さまざまな効能がある優れた成分と言われています。
黒にんにくの一日で食べる目安と注意点
黒にんにくは普通の白にんにくよりも癖がなく食べやすいため、つい食べ過ぎてしまう人もいるかもしれません。
しかし、いくら身体に良いからといって黒にんにくを一日に食べ過ぎるのはあまり良くありません。
一日の摂取目安と食べる際の注意点について解説します。
黒にんにくの一日の摂取目安
黒にんにくは食品なので、薬品のように一日の摂取量が厳格に決まっているわけではありません。
体調なども考慮し、一日に一個、多くても三個までにしておきましょう。
食べる時間はそこまで気にしなくても大丈夫ですが、栄養素が高いので、朝に食べれば一日の活力に、夜に食べれば疲労回復に役立ちます。
脂肪を燃焼しやすくなるという研究結果があるため、運動前に食べるのもおすすめです。運動前に食べる場合は、運動をする30分~1時間前を目安に摂取するようにしましょう。
黒にんにくを食べる際の注意点
黒にんにくを食べる際、副反応などのデメリットがあるのではと躊躇している人もいるかと思いますが、黒にんにくには副反応がないため、安心して食べることができます。
しかし、注意点が全くないわけではなく、食べ過ぎには注意が必要です。
にんにくが持つ性質として、強力な殺菌効果があります。その名の通り菌を殺す良い効果なのですが、にんにくを食べ過ぎてしまうと殺菌効果が過剰に働いてしまい、胃腸の荒れや下痢を引き起こすほか、腸内の悪玉菌だけでなく善玉菌も殺してしまう場合があります。
黒にんにくはS-アリルシステインの効果により、白にんにくよりも胃腸の荒れや下痢は起こりにくくなっていますが、にんにくが持つ強力な細菌効果が失われているわけではありません。健康に良いからといって食べ過ぎないようにしましょう。
一日の摂取量を守れば問題なく、豊富な栄養素によって身体に負担もかかりにくいため、黒にんにくは非常に低リスクな健康食品なのです。
まとめ
今回の記事では、黒にんにくの効果的な食べ方を紹介するとともに、黒にんにくの効果・効能や一日の摂取目安についても詳しく解説しました。
黒にんにくにはさまざまな栄養素が豊富に含まれており、特にS-アリルシステインは今後研究が進んでいくことで、新たな効能が見つかる可能性も秘めています。
フルーツ感覚でそのまま食べる以外にもさまざまな食べ方があるため、一日の摂取量を守って、お好みの食べ方で黒にんにくを取り入れてみてください。